University of Minnesota Human Rights Center

第六部 公判

第六二条 (公判の場所)

 別段の定めがない限り、公判の場所は、裁判所の所在地とする。

第六三条(被告人出席の下での裁判)

1 被告人は、公判の間出席しなければならない。

2 裁判所に出席している被告人が公判を妨害しつづける場合には、第一審裁判部は、被告人を退席させて、必要な場合には通信技術の使用を通じて被告人が法廷の外より裁判を傍聴し、弁護人に対して指示を与えるための用意をしなければならない。そのような措置は、他の合理的な代替措置が不適当であることが判明した後の例外的な場合にのみ、厳格に必要とされる期間に限りとられる。

第六四条(第1審裁判部の職務と権限)

1 本条に定める第一審裁判部の職務及び権限は、この規程並びに手続及び証拠に関する規則に従って行使されなければならない。

2 第一審裁判部は、公判が公正かつ迅速に、飛行人の権利を十分に尊重して、かつ被害者及び証人の保護に十分な考慮を払って行われることを確保しなければならない。

3 この規程に従って事件が公判に付されたときは、事件の処理を任された第一審裁判部は、次のことを行う。

(a)   当事者と協議し、訴訟手続の項生活迅速な進行を促進するために必要な手続を採用する。

(b)   公判で使用される一又はニ以上の言語を決定する。

(c)   この規程の他の関連書規定に従うことを条件として、公判のための十分な準備を可能とするために公判開始十分先立って、未だ開示されていない文書又は情報の開示を行う。

4 第一審裁判部は、効果的かつ公正な職務遂行のために必要な場合には、先決的問題を予備裁判部に付託することができ、又は必要な場合には、予審部の利用可能な他の裁判官に付託することができる。

5 第一審裁判部は、当事者へ通知して、適当な場合には一以上の被告人に対する起訴の併合又は分離を支持することができる。

6 第一審裁判部は、公判前又は公判中に職務を遂行するに当たって、必要な場合には次のことを行うことができる。

(a)   第61条11に定められた予審裁判部のいずれかの職務を行うこと。

(b)   必要な場合にはこの規程に定められた国家の援助を得ることによって、証人の出席及び証言、並びに文書及び他の証拠の提出を命じること。

(c)   機密情報の保護のための用意を行うこと。

(d)   公判前に既に収集された証拠に追加して、証拠の提出を命令すること。

(e)   被告人、証人及び被害者の保護のための用意を行うこと。及び

(f)   その他の関連事項について決定すること。

7 公判は公開で行われなければならない。但し、第一審裁判部は、第68条に定める目的のために、又は証拠として提出される機密情報もしくは高度の慎重を要する情報を保護するために、一定の手続を非公開で行うことが特別の事情により必要とされていると決定することができる。



(a) 公判の冒頭に、第一審裁判部は、前に予備裁判部が確認した起訴内容を被告人に対して朗読しなければならない。第一審裁判部は、被告人が起訴内容の性質を十分に理解していることを確認しなければならない。第一審裁判部は、被告人に対して第65条に従って有罪の自認又は無罪の答弁を行う機令を与えなければならない。

(b)公判では、裁判長が訴訟手続の進行(訴訟手続が公正かつ公平に行われることを確保することを含む。)について指示を。¥与えることができる。裁判長の指示に従うことを条件として当事者は、この規程の諸規定に従って証拠を提出することができる。

9 第一審裁判部は、当事者の申請に基づき又は職権によって、特に、次の権限を有する。

(a)   証拠の許容性又は関連性について裁定すること。及び

(b)   審理の過程で秩序を維持するために必要なすべての手段をとること。

10 第一審裁判部は、手続を正確に反映した公判の完全な記録が作成され、かつ当該記録が書記によって保持され保全されるよう確保する。

第六五条(有罪の自認に基づく手続)

1 被告人が第64条8(a)に従って有罪を自認する場合には、第一審裁判部は、次のことを決定する。

(a)   被告人が有罪の自認の性質及びその結果を理解しているか否か

(b)   当該自認が弁護人との十分な相談の後に被告人によって自発的に行われたか否か、及び

(c)   有罪の自認が次に含まれる事件の事実によって裏付けられているか否か。

(ⅰ)検察官により出され被告人が自認した起訴内容、

(ⅱ)検査官により出された起訴内容を補足する物件で被告人が認めたもの、及び

(ⅲ)検察官又は被告人によって提出された、証人の証言のような他の証拠。

2 第一審裁判部が1の規定に定める事項が証明されたと確認する場合には、提出された追加的な証拠とともに、有罪の自認を有罪の自認が関連する犯罪の立証に必要なすべての基本的な事実を証明するものとみなし、被告人を当該犯罪につき有罪と決定することができる。

3 第一審裁判部が1の規定に定める事項が証明されたと確認しない場合には、第一審裁判部は、有罪の自認が行われなかったのとみなさなければならない。その場合には、この規定に定められた通常の公判の手続の下で公判が継続されることを命令しなければならず、他の第一審裁判部に事件を付託することができる。

4 第一審裁判部が正義の利益のために、特に被害者の利益のために、事実のより完全な提示が必要であるという意見である場合には、第一審裁判部は、次のことができる。

(a)   検察官に対して追加の証拠(証人の証言を含む。) の提出を求めること。

(b)   この規定に定められた通常の公判の手続の下で公判が継続されることを命令すること。その場合には有罪の自認が行われなかったものとみなされなければならず、他の第一審裁判部に事件が付託することができる。

5 検察官と弁護側との間での起訴内容の修正、有罪の自認又は科されるべき刑罰についての話し合いは裁判所を拘束しない。

第六六条(無罪の推定)

1 すべての者は、裁判所において適用法規に従って有罪とされるまでは、無罪と推定される。

2 被告人に有罪の立証責任は、検察官にある。

3 被告人に有罪を宣告するには、裁判所は、相当な疑問の余地なく被告人の有罪を確信しなければならない。

第六七条(被告人の権利)

1 起訴内容の決定に当たり、被告人は、公開審理を受ける権利、この規程の諸規定を尊重して公平に行われる公正な審理を受ける権利、及び完全な平等の下での次の最低限の保障を受ける権利を有する。

(a)   被告人が十分理解し話す言語で、速やかにかつ詳細に、起訴内容の性格、理由及び内容を告げられること。

(b)   防御の準備のために十分な時間及び便益を得て、非公認が選任する弁護人と自由にかつ秘密に話し合うこと。

(c)   不当に遅延することなく裁判を受けること。

(d)   第63条2の規定に従うことを条件として、公判に出席すること、自分自身で又は被告人が選任する弁護人を通じて防御すること、被告人が弁護人を有していない場合には、この権利を告げられること、及び正義の利益が必要とする場合には、裁判所により弁護人が選任され、かつ被告人が十分な支払い手段を有しないときは費用を負担することなく弁護人を付されること。

(e)   被告人に不利な証人を尋問し又はこれに対し尋問させること、並びに被告人に不利な証人を同じ条件で被告人有利な証人を出席させ、尋問させること。被告人は防御を行い、この規程に基づき許容される他の証拠を提出する権利を有する。

(f)   いずれかの手続又は裁判所に提出された文書が、被告人が十分に理解し話す言語でない場合には、能力のある通訳及び公正さの要件を満たすために必要な翻訳の援助を無償で提供されること。

(g)   供述又は有罪の自白を強要されず、有罪又は無罪の決定にあたっては沈黙が考慮の対象をされることなく黙秘すること。

(h)   被告人の防御において宣誓を行わずに口頭又は文書で供述を行うこと、及び

(i)   挙証責任の転換又は反証の責任を課されないこと。

2 この規定に定める他の開示のほか、検察官は、検察官の保有又は管理下にある証拠であって、検察官が被告人の無罪若しくは罪の軽減を示す又は示すのに役立つと信じるもの、又は訴追証拠の信憑性に影響を与えるものを、実行可能な限り速やかに弁護側に開示しなければならない。本項の適用について疑いがある場合には、裁判所が決定する。

第六八条(被害者及び証人の保護及び手続への参加)

1 裁判所は、被害者及び証人の安全、肉体的及び精神的健康、尊厳及び⺻ライバシーを保護するために適切な処置をとらなければならない。それを行うに当たって、裁判所は、特に犯罪が性暴力又はジェンダーに基づく暴力並びに児童に対する暴力を伴う場合には(但し、それらの場合に限られない。) 、すべての関連要素 (年齢、第7条3に定義されたジェンダー、健康、及び犯罪の性質を含む。) を考慮する。検察官は、特に当該犯罪の捜査中及び訴追中、そのような措置をとらなければならない。これらの措置は、被告人の権利及び公正かつ公平な裁判を害し、又はそれと矛盾してはならない。

2 第67条に定められた公開審理の原則の例外として、裁判所の裁判部は、被害者及び証人又は被告人を保護するために、訴訟手続のいずれかの部分を非公開とし、または電子機器若しくは他の特別な方法による証拠の提出を許可することができる。特に、性暴力の被害者又は被害者若しくは証人である児童については、裁判所が別段の命令を下さない限り、すべての事情(特に被害者又は証人の見解)を考慮した上で、当該措置を実施しなければならない。

3 被害者の個人的な利害が影響を受ける場合には、裁判所は、裁判所による適当と決定された手段の段階で、又、被告人の権利及び公正かつ公平な裁判を害しない又はそれと矛盾しない形で、被害者の見解及び䳠念が掲示され及び検討することを許可する。裁判所が適当と考えるときは、そのような見解及び関心は、被害者の法定代理人が手続及び証拠に関する規則に従って掲示することができる。

4 被害者及び証人部門は、検察官及び裁判所に対して、第43条6に定められた適切な保護措置、安全を確保するための措置、カウンセリング及び援助について助言することができる。

5 この規程に従った証拠又は情報の開示が、証人又は証人の家族の安全に重大な危険をもたらしうる場合には、検察官は後半開始前に行われる手続のために、当該証拠又は情報の提出を保留し、その要旨をかわりに提出することができる。そのような措置は、被告人の権利及び公正かつ公平な裁判を害しない又は矛盾しない形で実施しなければならない。

6 国は、自国の公務員又は代理人の保護、及び機密の又は高度の慎重を要する情報の保護に関して、必要な措置がとられるよう申請することができる。

第六九条(証拠)

1 各証人は、証言を行う前に、手続及び証拠に関する規則に従って、自らが提出する証拠の真実性についての宣誓を行わなければならない。

2 公判における証人の証言は、第68条又は手続及び証拠に関する規則に定められた措置により行われた場合を除き、本人が行う。裁判所は、この規程に従うことを条件として、かつ手続及び証拠に関する規則に従って、ビデオ又は音響技術によって証人に口頭又は記録された証言を行うこと並びに文書又は謄本の提出を許可することができる。そのような措置は、被告人の権利を害し又はそれと矛盾してはならない。

3 当事者は、第64条に従って事件に関連する証拠を提出することができる。裁判所は、真実を判定するために必要と考えられるすべての証拠の提出を要請する権限を有する。

4 裁判所は、手続及び証拠に関する規則に従って、特に証拠の証拠能力、及び当該証拠が公正な裁判又は証人の証言の公正な評価に与えることのある予断を考慮した上で、証拠の関連性又は許容性について裁決することができる・

5 裁判所は、手続及び証拠に関する規則に定められた秘匿性に関する特権を尊重し遵守しなければならない。

6 裁判所は、一般に知られている事実について公知とすることができ、当該事実の証明を必要としない。

7 この規程又は国際的に認められた人権に違反する手段により収集された証拠は、次の場合には許容されない。

(a)   その違反が証拠の信頼性に重大な疑義をもたらす場合、又は

(b)   証拠を許容することが訴訟手続の誠実性に反し、かつ重大に傷つける場合

8 裁判所は、国により収集された証拠の関連性又は許容性について決定を下す場合には、当該国の国内法の適用に関して裁決してはならない。

第七〇条(司法の運営に対する罪)

1 裁判所は、故意に行われた司法の運営に対する次の罪について管轄権を有する。

(a)   第69条1に従って真実を述べる義務の下で虚偽の証言行うこと。

(b)   当事者が虚偽の又は捏造された証拠であることを知りながら当該証拠を提出すること。

(c)   証人に不正を働くように影響を与えること、証人の出席若しくは証言を妨害又は干渉すること、証人にたいして証言を行ったことについて報復を行うこと、または証拠の収集を破壊し、改ざんし若しくは妨害すること。

(d)   裁判所の職員の職務の不履行若しくは不適せるな遂行を強要する又は説明する目的のために、当該職員に対して妨害若しくは脅迫を行い、又は不正を働くように影響を与えること。

(e)   裁判所の職員に対して、当該職員又は他の職員が職務を遂行したことを理由に報復すること。

(f)   裁判所の職員が公務に関連して賄賂を要求し又は収受すること。

2 本条に基づく罪に対する裁判所の管轄権の行使を規律する原則及び手続は、手続及び証拠に関する規則に定める原則及び手続である。本条に基づく手続について裁判所に国際的協力を提供するための条件は、被要請国の国内法によって規律される。

3 有罪判決の場合には、裁判所は、5年以下の拘禁刑、若しくは手続及び証拠に関する規則に従って罰金、又はその両方を科すことができる。



(a)各締約国は、自国の捜査手続又は司法手続の誠実性に対する罪を処罰する自国の刑法を、本条に定められた司法の運営に対する罪であって、自国の領域において又は自国民によって行われたものに、拡張しなければならない。

(b)裁判所による要請を受けたならば、締約国は、それを適当と考える場合はいつでも、自国の権限ある当局に訴追のために事件を付託しなければならない。当該当局は、そのような事件を注意をもって扱い、それらが効果的に行われることを可能とするために十分な資源を当該事件にふり向けなければならない。

第七一条(裁判所における不正行為に対する制裁)

1 裁判所は、裁判に出席している者で不正な行為(裁判手続の妨害又は裁判所の指示に従うことの意図的な拒絶を含む。) を行ったものを、法廷からの一時的又は永久的な退席、手続及び証拠に関する規則に定める罰金又はその他の類似の措置のような、拘禁刑以外の行政的な措置によって制裁を加えることができる。

2 1の規定に定める措置の賦課を規律する手続は、手続及び証拠に関する規則に定める手続である。

第七二条(国家の安全保障に関する情報の保護)

1 本条は、一国の情報又は文書の開示が、当該国の見解では、当該国の国家安全保障の利益を害する場合に適用される。そのような場合には、第56条2及び3、第61条3、第64条3、第67条2、第68条6、第87条6及び第93条の範囲に該当するもの、並びに開示が問題となりうる手続のその他の段階において生じる場合が含まれる。

2 本条は、情報又は証拠の提供を求められた者が、開示が一国の国家安全保障の利益を害することを理由としてその適用を拒絶し又は当該国にその問題を付託し、かつ当該国が開示が自国の安全保障の利益を害するとの見解であることを確認する場合にも適用される。

3 本条のいかなる規定も、第54条3(e)及び(f)に基づき適用可能な秘匿性の条件又は第73条の適用を害するものではない。

4 一国が手続のいずれかの段階において自国の情報又は文書が開示されていること又は開示されるおそれがあることを知り、開示が自国の国家安全保障利益を害するとの見解である場合には、本条に従って問題の解決を図るために加入する権利を有する。

5 一国の見解では情報の開示が自国の国家安全保障の利益を害する場合には、その国は、場合に応じて、検察官、弁護側または予備裁判部若しくは第一審裁判部と協力して、協同的な手段によって問題を解決するためすべての合理的な処置をとる。そのような処置には、次のものが含まれうる。

(a)   要請の修正又は明確化

(b)   求められている情報若しくは証拠の関連性に関する裁判所による決定、又は関連性がある場合でも、その証拠が被要請国以外の情報源から入手可能であるか否か、若しくは入手されたか否かに関する裁判所による決定

(c)   情報又は証拠を、別の情報源又は別の形態で入手すること、又は

(d)   援助が提供される条件(特に、要旨又は編集されたものの提出、情報開示への制限、非公開名または一方当事者だけによる手続、又はこの規程並びに手続及び証拠に関する規則の下で許容されるその他の保護措置を含む。) についての合意

6 問題を協同的な手段を通じて解決するためにすべての合理的な手段がとられた後で、被要請国が自国の安全保障の利益を害することなく情報若しくは文書を提供又は開示しうる手段又は条件も存在しないと考える場合には、被要請国は、検察官又は裁判所に対して自国の決定の具体的な理由とともにその旨通知する。但し、理由の具体的説明自体が被要請国の国家安全保障の利益を必然的に害することになる場合は、この限りではない。

7 その後裁判所が、被告人の有罪又は無罪の立証のために関連があり、かつ必要であると決定する場合には、裁判所は、次の行動をとることができる。

(a)   情報又は文書の開示が第9部に基づく協力の要請に従って、又は2の規定に定められた状況に従って求められ、国家が第93条4に規定された拒絶理由を援用する場合には、

(b) 裁判所は、7(a)(ⅱ)の規定に定められた結論を下す前に、被要請国の主張を検討するために更に協議を要請することができる。この協議には、適当な場合には、非公開又は一方当事者だけが参加する審理が含まれる。

(c)裁判所 は、被要請国が当該事件の状況において第93条4に基づいて拒絶理由を援用することによって、被要請国がこの規程の義務に従って行動していないと結論する場合には、その結論の理由を明示して第87条7に従って問題を付託することができる。また、

(ⅲ (d) 裁判所は、状況において適当であるならば、被告人の公判において事実の有無についてそのような推定を行うことができる。

(b)   その他のすべての場合には、

(ⅰ)開示を命じること、又は

(ⅱ)開示を命じない限りにおいて、状況において適当であるならば、被告人の公判において事実の有無についてそのような推定を行うこと。

第七三条(第3者の情報又は文書)

  締約国が自国の保管、所有若しくは管理の下にある文書又は情報で、一国、政府間機関若しくは国際機関から秘密に自国に開示されたものの提出を裁判所から要請された場合には、被要請国は、当該文書又は情報の開示につき情報提供者の同意を求めなければならない。情報提供者が締約国である場合には、この情報提供国は、当該文書若しくは情報の開示に同意するか、または第72条の規定に従うことを条件として開示の問題を裁判所との間で解決する約束をするかのいずれかを行わなければならない。情報提供者が締結国ではなく、かつ開示の合意を拒否した場合には、被要請国は、情報提供者に対して負っている既存の秘匿義務の故に当該文書又は情報を開示できない旨、裁判所に通知しなければならない。

第七四条(判決に関する必要事項)

1 第一裁判部のすべての裁判官は、公判の各段階において及び審理の期間を通じて出席しなければならない。統括部は、その都度、公判の各段階に出席し、かつ第一審裁判部の構成員が出席を継続できない場合にその者に代替する補欠裁判官を一名以上指名することができる。

2 第一審裁判部の判決は、証拠及び訴訟手続全体の評価に基づいていなければならない。判決は、起訴内容及び起訴内容の修正に記された事実及び状況の範囲を越えてはならない。裁判所は、公判において裁判所に提出され、議論された証拠に基づいてのみ判決を下すことができる。

3 裁判官は、判決において、全一致に達するように努めなければならない。全一致に達しない場合には、裁判官の過半数によって判決を下す。

4 第一審裁判部の審議は、秘密とする。

5 判決は、書面でなければならず、また、第一審裁判部の証拠に関する決定及び結論についての十分かつ道理にかなった記述を含まなければならない。第一審裁判部は、一つの判決を出す。全一致でない場合には、第一審裁判部の判決は、多数意見及び少数意見を含まなければならない。判決又はその要旨は、公開の法廷において言い渡されなければならない。

第七五条(被害者に対する賠償)

1 裁判所は、被害者への又は被害者に関する賠償(原状回復、補償又は復権を含む。)に関する諸原則を定めなければならない。これを基礎として裁判所は、要請を受けて又は例外的な状況においては職権により、その判決において、被害者への若しくは被害者に関する損害、損失又は侵害の範囲及び程度を決定することができ、また、裁判所が従っている原則を述べる。

2 裁判所は、被害者への又は被害者に関する適当な賠償(原状回復、補償又は復権を含む。)を明記して、有罪の判決を受けた者に対して直接に命令を下すことができる。

 適当な場合には、裁判所は、補償の付与が第79条に定められた信託基金を通じて行われるよう命令することができる。

3 本条に基づいて命令を下す前に、裁判所は、有罪の判決を受けた者、被害者、その他の関係者又は利害関係国を招くことができ、彼等の陳述又は彼等に代わってなされる陳述に考慮しなければならない。

4 本条に基づいて権限を行使するに当たり、裁判所は、ある者が裁判所の管轄に属する犯罪について有罪判決を受けた後、本条にに基づいて下す命令に効果を与えるために第93条に基づく措置を求めることが必要か否かを決定することができる。

5 締約国は、第109条の規定が本条に適用されるかのように、本条に基づく判決に効果を与えなければならない。

6 本条のいかなる規定も、国内法上又は国際法上の被害者の権利を害するものと解釈されてはならない。

第七六条(刑の宣告手続)

1 有罪判決の場合には、第一審裁判部は、科されるべき適当な刑を検討し、公判中に提出された証拠及び行われた陳述で刑に関連するものを考慮しなければならない。

2 第65条が適用される場合を除くほか、第一審裁判部は、公判が終了する前に、手続及び証拠に関する規則に従って刑に関連する追加的な証拠又は陳述をきく再審理を職権により開くことができ、また、検察官又は被告人の要請がある場合には再審理を開かなければならない。

3 2の規定の適用がある場合には、第75条に基づく陳述は、2の規定に定める再審理中に、又必要な場合には追加審理中に審理しなければならない。

4 刑は、公開の場で、また、可能なときはいつでも被告人の出席の下で宣告されなければならない。


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