University of Minnesota Human Rights Center


死刑の廃止をめざす、市民的及び政治的権 利に関する国際規約の第二選択議定書 (自由権規約第二選択議定書)(抄),G.A. res. 44/128, annex, 44 U.N. GAOR Supp. (No. 49) at 207, U.N. Doc. A/44/49 (1989), 効力発生 一九九一年七月一一日


 この議定書の締約国は、

 死刑の廃止が人間の尊厳の向上 (enhancement of human dignity) と人権の漸進 的発展 (progressive development; [仏] developpement progressif) に寄与す ることを信じ、

  一九四八年一二月一〇日に採択された世界人権宣言の第三条及び一九六六年一二月一六日に採択された「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第六条を想 起し、

  「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第六条が、死刑の廃止が望ましい ことを強く示唆する文言をもって死刑の廃止に言及していることに留意し、死刑の廃止のあ らゆる措置が生命に対する権利 (right to life; [仏] droit a la vie)の享受における前進 (progress; [仏] progres) と考えられるべきであることを確信し、

  このようにして死刑を廃止するという国際的な公約(commitment; [仏] engage- ment)を企図することを願って、次のとおり協定した。

第一条

1 何人も、この選択議定書の締約国の管轄内にある者は、死刑を執行されない。

2 各締約国は、その管内において死刑を廃止するためのあらゆる必要な措置を とらなければならない。

第二条

1 批准又は加入の際にされた留保であって、戦時中に犯された軍事的性格をも つ極めて重大な犯罪に対する有罪判決によって、戦争の際に死刑を適用するこ とを規定するものを除くほか、この選択議定書にはいかなる留保も許されない。

2 このような留保をする締約国は、批准又は加入の際に、戦時に適用される国 内法の関連規定を国際連合事務総長に通報 (communicate) するものとする。

3 このような留保をした締約国は、その領域に適用される戦争状態の開始又は 終了について国際連合事務総長に通告 (notify) するものとする。

第三条

 この選択議定書の締約国は、規約の第四〇条の規定に従って人権委員会 (Human Rights Committee) に提出する報告書に、この議定書を実施するため にとった措置に関する情報を含めなければならない。

第四条

 規約の第四一条の規定による宣言 (declaration) をした規約締結国に関し ては、当該締約国が批准又は加入の際に別段の声明 (statement) をしたのでな い限り、一締結国から他の締約国がその義務を履行していない旨を主張してい るという通報について、人権委員会が受理しかつ審議する権限は、この議定書 の規定にも拡張されるものとする。

第五条

 一九六六年一二月一六日に採択された「市民的及び政治的権利に関する国際 規約」についての(第一)選択議定書の締約国に関しては、当該締約国が批准 又は加入の際に別段の声明をしたのでない限り、その管轄権に服する個人から の通報 (communications) を人権委員会が受理しかつ審議する権限は、この議 定書の規定にも拡張されるものとする。

第六条

1 この議定書の規定は、規約の追加規定として適用されるものとする。

2 この議定書の第二条に定める留保の可能性を害することなく、この議定書の 第1条第1項において保障される権 利は、規約の第四条によるいかなる廃止措 置 (derogation; [仏] derogation) をも受けることがないものとする。

第七条

1 この議定書は、規約に署名したすべての国による署名のために開放される。

2 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国により批准され なければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託されるものとする。

3 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国による加入のた めに開放される。

4 加入は、国際連合事務総長に加入書を寄託することによって行われる。

5 国際連合事務総長は、この議定書に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書または加入書の寄託を通知する。

第八条

1 この議定書は、一〇番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託され た日の後3箇月で効力を生ずる。

2 一〇番目の批准書又は加入書が寄託された後に本議定書を批准し又はこれに 加入する国については、この議定書は、その国の批准書又は加入書が寄託され た日の後三箇月で効力を生ずる。

第九条

 この議定書の規定は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての 地域について適用する。

第一〇条

 国際連合事務総長は、規約の第四八条第一項に規定するすべての国に、次の 事項について通知 (inform) するものとする。

(a) この議定書の第二条の規定による留保、通報 (communications) 及び通告 (notifications)

(b) この議定書の第四条又は第五条の規定によってされた声明 (statements)

(c) この議定書の第七条の規定による署名、批准及び加入

(d) この議定書の第八条の規定によるこの議定書の効力発生の日


第一一条

1 この議定書は、アラビア後、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペ イン語を等しく正文とし、国際連合に寄託される。

2 国際連合事務総長は、この議定書の認証謄本を規約の第四八条に規定するす べての国に送付する。

出典  http://www.asahi-net.or.jp/‾ef4j-tkgi/dp/sopiccpr.html  団藤重光・試訳


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